日本小児外科学会雑誌
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原著
小児気胸に対する治療戦略の再考
狩野 元宏藤野 明浩古金 遼也橋詰 直樹小林 完森 禎三郎渡辺 栄一郎髙橋 正貴米田 光宏金森 豊
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2023 年 59 巻 4 号 p. 741-746

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抄録

【目的】小児でも胸腔鏡補助下手術が自然気胸の標準的治療選択肢の一つとして広く認知されている一方で,報告が少なく非手術治療(ドレナージ・経過観察)との使い分けや適応は定まっていない.本研究では当院での自然気胸の治療成績を後方視的にまとめ,治療方針について検証する.

【方法】2003年1月から2020年12月までに当科で「気胸」に対して治療を行った2歳以上の患者の診療録を後方視的に参照し,性別などの患者背景と,胸部単純X線やCTの所見,治療とその結果,再発回数による治療成績の変化を抽出し検討した.結果は全て中央値(四分位範囲)で記載する.

【結果】対象期間中に46例87件の気胸を認めた.半数の症例は非手術治療で軽快しており,手術を実施したのは21例(46%)33件(38%)だった.術後再発は9/33件(27%),非手術治療後の再発は20/54件(37%)と,手術・非手術治療ともに再発率は高めであった.当院における初回エピソード58件に限って検討すると,初回治療が非手術治療だった36件のうち,29件(81%)は再発後も含め一度も手術を要さなかった.CT所見と再発には相関はなかった.

【結論】小児外科医が治療対象とする若年者の気胸は手術・非手術いずれの治療でも再発率が高いが,非手術治療のみで軽快する症例も多いことから,再発例も含め非手術治療をより積極的に適応し,手術においては再発を想定し再開胸の妨げとなる手技を控えるべきである.

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