2015 年 71 巻 6 号 p. II_229-II_239
酪農地域では家庭系食品廃棄物等のウエット系バイオマスの賦存量が少ないため,単位廃棄物あたりの処理コストやGHG排出量が多くなる傾向にある.その解決方策の一つとして,ウエット系バイオマスを混合処理(集約化)し,効率的な処理を行う方法が考えられる.本研究では酪農地帯において家畜ふん尿バイオガス化プラントを導入し,同時にウエット系バイオマスを一括処理することを想定し,メタンガス発生量の原単位や発酵の安定性,消化液の成分を実験的に明らかにした.さらに,実験で得られたデータを用いて,A行政事務組合を対象にウエット系バイオマスの処理を対象として,トータルのコストとGHG排出量の試算を行った.その結果,バイオガス化プラントの導入により現状の処理方法と比較して,ウエット系バイオマスの処理コストは36.4 %削減され,GHG排出量も124 %削減されることが試算され,事業として成立する可能性があることを示した.