日本小児外科学会雑誌
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症例報告
外来抗菌薬静注療法が有用であったヒルシュスプルング病類縁疾患の患児に発症した中心静脈カテーテル関連血流感染症の1例
篠原 彰太 山根 裕介大関 圭祐吉田 拓哉田浦 康明小坂 太一郎江口 晋永安 武
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2023 年 59 巻 6 号 p. 986-990

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抄録

症例は在宅中心静脈栄養を行っているヒルシュスプルング病類縁疾患の1歳11か月の男児.中心静脈カテーテル関連血流感染症(catheter related blood stream infection: CRBSI)を繰り返しており,定期外来で予防的エタノールロック療法を行っていた.受診4日前の定期外来時に,中心静脈カテーテル接続部のぬぐい培養を提出した.受診前夜に高熱が出現し,翌朝当科外来を受診した.ぬぐい培養でKlebsiella spp.が検出されていたこと,家庭環境から入院が困難であったことからセフトリアキソンナトリウム水和物(CTRX)による外来抗菌薬静注療法(outpatient parenteral antimicrobial therapy: OPAT)を選択した.外来でCTRX 60 mg/kgの静注及び2時間のエタノールロックを施行し,10日間の治療で治癒し得た.児の全身状態が保たれ,使用する抗菌薬が決定している場合は,OPATはCRBSIの治療選択の一つとなる可能性が示唆された.

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