2023 年 59 巻 7 号 p. 1088-1094
症例は21歳女性.低位鎖肛に対して生後3か月にPotts法による鎖肛根治術を施行したが,8歳以降は当科への通院歴はなく,その後は自己管理となっていた.当院搬送1か月前から便秘があり,1日前に前医入院,入院後に糞便性腸閉塞・腹部コンパートメント症候群・下肢虚血を発症し,当院に救急搬送された.緊急全身麻酔下摘便を施行し,9 kgの糞便を排出した.長期間の集中治療を要したが,後遺症なく軽快し,現在は小児外科と成人診療科で連携し内服および浣腸による排便コントロールを継続している.直腸肛門奇形術後には排便機能障害,尿路系の異常,脊髄の異常,性機能異常などが起こりえるため,長期フォローアップが必要である.時に低位鎖肛であっても,本症例のように致死的状態に陥る危険性もあり,患者・家族への疾患理解や療養方針を考えるべく患者教育を行い,小児外科医療だけでなく,成人医療へのトランジションも不可欠であると思われた.