2023 年 59 巻 7 号 p. 1095-1100
症例は13歳女児.ランニング中に転倒し地面で腹部を強打し受傷した.同日近医を受診し経過観察となるも,発熱,腹痛,嘔吐が持続したため,造影CTを施行し膵頭/体部の断裂を認め,受傷15日目に当院紹介となった.同日施行した内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)では,頭側主膵管からの造影で尾側膵管は造影されず,IIIb型外傷性膵損傷と診断した.体尾部側への内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)チューブ留置を試みたが断裂部位までの留置となった.絶食,抗菌薬,ガベキサートメシル酸,オクトレオチド酢酸塩の投与を行うもENPDからの排液が減少し腹水の増加と膵仮性囊胞を認めたため,経皮的ドレナージを追加した.その後腹水は減少,膵仮性囊胞も縮小し血中アミラーゼも改善したため受傷86日目に退院となった.IIIb型外傷性膵損傷では一般的に手術が必要と考えられているが,全身状態が安定している場合は非手術療法も考慮すべきである.