日本小児外科学会雑誌
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原著
小児の臍部における術野消毒の有効性
大畠 雅之 藤枝 悠希
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2024 年 60 巻 1 号 p. 38-43

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抄録

【目的】小児の腹部鏡視下手術や消化器手術の経路として利用される臍部は解剖学的に陥凹し皺襞の多い構造のため術野消毒の効果が低いことが予想される.小児の全身麻酔症例を対象として臍部における術野消毒の有効性について検討した.

【方法】2020年7月~2021年2月に当院で全身麻酔下に手術を受けた0歳から12歳未満の小児30例を対象とした.対象疾患は鼠径ヘルニア,停留精巣,その他の小手術で,消化管手術,臍ヘルニア,臍部に炎症を伴う疾患と緊急症例は除外した.術前日にオリーブオイルで臍処置を行い,術野消毒に0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩(クロルヘキシジン)を使用した10例,1.5%オラネキシジングルコン酸塩(オラネキシジン)を使用した10例を対照群10例と比較した.検体は臍部からスクラブカップ法により採取した.

【結果】対照群,クロルヘキシジン群,オラネキシジン群の細菌培養ではオラネキシジン群の1例を除く29例で菌種が検出された.検出された菌種はStaphylococcus epidermidisが30例中29例から,次にCorynebacterium sp.が11例から検出された.30例中26例に臍垢が残存していた.術後SSIの発生と有害事象は全例において認めなかった.検出されたStaphylococcus epidermidisを含めた全ての菌種のコロニー数は3群間において有意な差を認めなかった.

【結論】術前日の臍処置と術前の臍部消毒の有無により臍内の細菌叢数に差があるという結果は得られなかった.術野消毒の観点から臍部消毒は必要であるが,術前臍処置は重要でない.

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