日本小児外科学会雑誌
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原著
当院における小児気道異物症例の検討
吉井 れの中原 康雄 向井 亘宮田 豪高田 知佳浮田 明見人見 浩介高橋 雄介後藤 隆文青山 興司
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2024 年 60 巻 6 号 p. 884-889

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抄録

【目的】小児気道異物は迅速な治療を要する緊急疾患だが,その臨床像は多彩であり診断や治療に難渋する場合も多い.小児気道異物の診断・治療介入の遅延を防止することを目的として,当科で経験したこれまでの症例から文献的考察を交えて報告する.

【方法】2003年1月から2023年5月までに当科で気道異物と診断した19例を対象とし,年齢や異物の種類,目撃の有無,診断までの期間,摘出方法などについて診療録より収集し,後方視的に分析を行った.特に,発症から診断までの期間が2日以内であるものを早期診断例,3日以上のものを診断遅延例と定義し,比較検討を行った.

【結果】男児が63%,3歳未満が84%であった.診断遅延例は6例(31%)あり,早期診断例と比べて保護者による目撃情報の申告が有意に少なかった,また,摘出後の入院期間が長く,全例が診断前に呼吸器感染症と診断されていた.異物の種類はナッツ・豆類が47%と最多であった.胸部単純X線検査で異物を指摘できたのは非食物の3例のみであった.CT検査は13例で施行されていたが,そのうち1例は初期の読影で診断に至らなかった.診断遅延6例中4例(66.7%)で保護者への詳細な問診,もしくは,目撃情報の申告に対する積極的な精査に問題があった.

【結論】小児気道異物は特異的な症状を呈することが少なく,画像検査でも診断に至らない場合がある.乳幼児の呼吸器症状では気道異物を鑑別に挙げて問診を行い,遷延する咳嗽や喘鳴,繰り返す肺炎など,治療抵抗性の場合には積極的にCT検査や気管支鏡検査を行うことで診断の遅延を防ぐことができると考えられる.

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