高位鎖肛の患者では便禁制に必要な恥骨直腸筋や肛門括約筋が未発達とされ,術後便失禁のリスクは高い.肛門管形成術は高齢者における特発性便失禁を対象に報告された術式で,我々はヒルシュスプルング病根治術後に肛門が持続的に開大し便失禁を呈する症例に応用し,便失禁が改善したことを以前本誌で報告した.その経験を踏まえ,本術式を高位鎖肛術後の便失禁を呈する症例に応用したので報告する.症例は3例で男性1例および女性2例で原疾患は高位鎖肛(無瘻孔,直腸前立腺瘻,総排泄腔遺残),肛門管形成術時の年齢は11歳から24歳であった.肛門管形成術前の直腸肛門奇形研究会排便スコアは0~1点であり.術前透視では全症例で肛門管の開大を認め造影剤の保持は不可能であった.肛門管形成術後,排便スコアは5~7点に改善し,術後透視では全例で肛門管の開大が改善し,造影剤の保持が可能となった.本術式は高位鎖肛術後の便失禁に対しても一定の効果を認めた.