日本小児外科学会雑誌
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症例報告
開腹切石術を施行した複雑な膵管奇形を伴う先天性十二指腸狭窄症術後の1例
人見 浩介 中原 康雄高橋 雄介向井 亘浮田 明見高田 知佳宮田 豪後藤 隆文青山 興司
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2025 年 61 巻 2 号 p. 192-197

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抄録

症例は6歳,男児.日齢3に先天性十二指腸狭窄症に対して十二指腸十二指腸吻合術を受けた.3日前からの腹痛のため当院を受診したところ,膵酵素の上昇と造影CT検査で膵腫大を認め急性膵炎と診断した.MRI検査で膵頭部膵管に膵石が充満していた.また,膵頭部膵管に複雑な膵管奇形を認めた.膵石は内視鏡で摘出不能であり,開腹切石術を行った.超音波検査で膵管を同定し,膵頭体部移行部付近で膵管を開放し膵石を除去した.術中造影検査で膵頭部の膵管は三つ股に分岐し,うち2本は十二指腸に開口していた.また,膵管の分枝も拡張し,側副路の形成を認めた.膵管の十二指腸開口部に狭窄はなく,経十二指腸的に膵管ステントを留置し手術を終了した.術後は合併症なく経過した.術後33日目に退院し,現在まで膵炎の再発なく経過している.複雑な膵管奇形を伴う膵石症では,膵管走行の把握及び確実な膵石除去の方法として膵管切開術は有効と考えられた.

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