2025 年 61 巻 2 号 p. 198-203
腸管虚血を伴った中腸軸捻転症例に対し,Ladd手術後にサイロ吊り上げ法(silo suspension method: SSM)を行い,腹部コンパートメント症候群(ACS)を回避し,虚血腸管を直視下で観察した後second look手術を行った新生児3症例を経験した.1例はLadd手術翌日に発症したACSに対しSSMを行い,サイロ内腸管の浮腫や壊死の程度を観察,全身状態改善した術後6日目に壊死腸管40 cmを切除・再建し閉腹した.他2例はLadd手術時にSSMを行い,術後2日目に25 cm,35 cmの壊死腸管切除・再建し閉腹した.3例とも術後の経過は良好であった.SSMは,①閉腹に伴うACSを予防,②腸管を直視下に観察することによるsecond look手術の時期の判断,③腸管切除範囲の最小化,という利点がある.感染リスク増悪などmorbidity悪化も認めず,中腸軸捻転に対し有用であった.