日本小児外科学会雑誌
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症例報告
Nuss法術後に両側緊張性気胸を発症した1例
菅井 佑 三宅 啓津久井 崇文矢本 真也野村 明芳合田 陽祐山城 優太朗福本 弘二
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2025 年 61 巻 4 号 p. 740-745

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抄録

症例は17歳の女性.漏斗胸に対してNuss手術の2か月半後に突然呼吸困難感があり,徐々に増悪したため近医受診した.胸部レントゲン写真にて両側気胸と診断され当院救急搬送となった.来院時は呼吸回数増加,起坐呼吸,臥位にて経皮的酸素飽和度の低下を認め,緊張性気胸の状態であり,直ちに胸腔ドレーンを留置し,速やかに呼吸状態は改善した.胸部単純CT検査で右上葉のブラを含め,他複数個の疑い病変も認めた.保存的治療では改善せず,入院17日目に胸腔鏡下右肺ブラ切除術を施行した.右上葉以外に明らかなブラ病変は認めなかった.術後5日目に退院し,術後1年5か月現在外来経過観察中である.Nuss法術後は医原性のバッファローチェストの状態であり,自然気胸を発症した際は両側発症となる可能性が高い.両側自然気胸は緊張性気胸となるリスクがあり,入院加療の上迅速な対応を要する.ドレナージ治療が奏功しないことが多く,早期の手術介入を検討する.

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