2025 年 61 巻 5 号 p. 840-844
症例は月齢5の男児.月齢3に前医で胃食道逆流症と肥厚性幽門狭窄症に対して腹腔鏡下噴門形成,胃瘻造設,幽門形成術が施行され,術後早期に腹膜炎を発症したが保存治療で改善した.当院転院後,月齢5に胸部単純X線検査で縦隔内に消化管を疑う異常陰影を認めた.注腸造影検査で,横行結腸全体が食道背側から縦隔内へ脱出しており,二次性食道裂孔ヘルニアと診断した.同時期に現れた無気肺と酸素需要の原因と考えられたため,外科的治療の方針とした.腹部の高度癒着が予想された一方,胃食道逆流の再発は認めなかったため,胸腔鏡下に脱出腸管を腹腔内に還納し,開大した食道裂孔を縫縮し食道と固定した.術後3日目には右肺の無気肺は改善,酸素投与は不要となった.現在術後1年で再発なく経過している.腹腔の高度癒着が予測される食道裂孔ヘルニア症例では,胸腔鏡アプローチは選択肢となりうる.