2026 年 62 巻 2 号 p. 206-211
Cornelia de Lange症候群(CdLS)に短腸症候群を合併し,在宅中心静脈栄養管理を要する25歳男性に対し,Advance Care Planning(ACP)を導入した1例を報告する.度重なるカテーテルトラブルや合併症による入退院を繰り返す中,唯一の養育者である祖母より侵襲的処置および入院加療の中止を希望する相談があり,患者本人の意思確認が困難である状況下において,家族の意思を尊重しつつ,倫理的・法的観点を考慮して治療方針を検討した.院内臨床倫理問題相談委員会や顧問弁護士,在宅医療チーム,市職員を含む地域連携,ACPシートを用いた意思確認と合意形成を行い,非侵襲的な在宅療養体制を整備した.本症例は,非担癌状態にある重症心身障がい者におけるACP導入の意義とともに,小児外科医もACPの理念を理解し,多職種連携の中で意思決定支援を担う姿勢が求められることを示唆するものである.