2026 年 62 巻 5 号 p. 949-953
症例は神経線維腫症1型の合併が疑われた14歳男性.腹痛を契機に後腹膜腫瘤が指摘され,画像所見および臨床的背景から悪性末梢神経鞘腫瘍(malignant peripheral nerve sheath tumor: MPNST)などの悪性腫瘍が疑われた.しかし,開腹下腫瘍生検が2度行われるも,いずれも反応性炎症性組織で診断に至らなかった.術後腸閉塞に対する癒着剥離術に併せて腫瘍切除術が施行され,手術標本の免疫組織染色でH3K27me3の完全欠失を認め,MPNSTのサブタイプである悪性Triton腫瘍と診断された.生検で診断困難であった原因として,腫瘍が炎症性組織を主とした被膜を有し内部には壊死を認め,viableな腫瘍組織の偏在が考えられた.本症例のように臨床的に悪性腫瘍が強く疑われるにもかかわらず,生検で確定診断に至らない場合には,腫瘍切除術についても検討する必要があると考えられた.