【目的】小児の気管カニューレ抜去には明確なガイドラインがなく,施設間で実践が異なる.当科でも標準化された適応や手順がなく,小児外科医ごとの裁量で行われてきた.本研究では,当科における小児気管カニューレ抜去の10年間の経験を後方視的に検討し,実施手順と成績を整理するとともに,適応と手順を明確化したプロトコル構築を目的とした.
【方法】2013年1月から2023年11月に当科でカニューレ抜去を試みた15歳以下の患者を対象とし,喉頭気管形成術後は除外した.当科では原則としてカニューレの段階的サイズダウン,テープ閉鎖,硬性気管支鏡検査を経て入院下に抜去しており,2022年以降は誤嚥防止と発声練習目的でスピーチカニューレも使用したが,その順序や期間は標準化されていなかった.診療録から手順と成績を検討し,また気管内肉芽のリスク因子をロジスティック回帰で解析した.
【結果】33人に計37回の気管カニューレ抜去を試みた.抜去時年齢の中央値は5歳,成功率は86.5%であった.硬性気管支鏡は91.9%で施行され,そのうち気管内肉芽処置は23.5%で行われた.スピーチカニューレは32.4%で使用された.テープ閉鎖期間,抜去後入院観察期間,抜去までの全期間の中央値はそれぞれ6日,4日,90日であった.また,気管内肉芽形成に有意な関連因子は認めなかった.
【結論】非標準化管理では,気管カニューレ抜去計画から実施まで長期化しやすく,効率化にはプロトコル導入が有用と考えられた.当科では入院期間6日を基本とし,スピーチカニューレ・バルブの使用を組み込んだ小児気管カニューレ抜去プロトコルを作成した.