スポーツ理学療法学
Online ISSN : 2758-4356
シンポジウム3「Rehabilitation」
足関節靱帯損傷に対するリハビリテーションのエビデンスと臨床応用
越野 裕太
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 2 巻 Supplement 号 p. S11

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抄録

足関節靱帯損傷は最も多いスポーツ傷害であり、再発率が高く、運動パフォーマンス不良を導くことから、リハビリテーションによって再発することなくスポーツ活動への完全復帰を導くことが目標となる。この目標を達成するには足関節靱帯損傷の後遺症である慢性足関節不安定症(CAI)に進展しないこと及びCAIを改善させることが重要となる。

CAIには姿勢バランスや神経筋制御といった機能的因子の障害が関与することが示されている。特に姿勢バランスは多くの介入研究で治療ターゲットとされ、スポーツ復帰を意思決定する際に推奨される評価項目の一つでもある。したがって、演者らはCAI症例の姿勢バランス障害に着目し、どの保存療法が静的および動的姿勢バランス障害を改善させるのかを、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行い検討した。2022年3月までの無作為化比較試験を系統的に検索し、48の英語論文を特定した。静的および動的バランスそれぞれに対してメタアナリシスを実施した結果、CAI症例の静的バランスに有効であったのは全身振動刺激トレーニング(標準化平均差(SMD)1.13、95%信頼区間(CI)0.58-1.68)のみであった。動的バランスに有効であったのは全身振動刺激トレーニング(SMD 0.56、95%CI 0.24-0.88)、バランストレーニング(SMD 0.77、95%CI 0.41-1.14)、関節モビライゼーション(SMD 0.75、95%CI 0.35-1.14)、マルチモーダル介入(SMD 0.76、95%CI 0.32-1.20)、経頭蓋直流電気刺激法と筋力強化の併用(SMD 0.81、95%CI0.08-1.53)であった。一方で、静的および動的バランスの両方において、それぞれの介入間での有意差は認めなかった。したがって、これらの有効であった介入はCAI症例の姿勢バランス障害に対する介入選択肢になると考えられた。しかしながら、介入間で有意差を認めなかったことから、より有効な介入の特定には至らなかった。また、エビデンスの確実性を評価した結果、ほとんどが「非常に低」もしくは「低」であったことから、これらの結果の解釈には注意を要する。

本発表では、上記を含めた演者らのこれまでの研究および足関節靱帯損傷のリハビリテーションに関するエビデンスを整理し、リハビリテーションでの臨床応用の実際に関して議論したい。

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