2022 年 2 巻 Supplement 号 p. S17
スポーツにおける着地動作は、対象者の身体機能、障害既往の有無、環境的要因などにより異なる特徴的な衝撃吸収戦略を有することが知られている。特に、衝撃吸収能が乏しい着地動作(いわゆる硬い着地)は、膝関節障害等の発症に大きく影響を及ぼす危険性を有している。
近年では、スポーツ現場や臨床現場等において、着地時に“柔らかく着地すること”に着目したトレーニングや動作指導が行われることが多い。Paduaら(2009)によって開発されたLanding Error coring System(LESS)では、膝関節前十字靭帯損傷などの発症危険性を判断するための評価指標の一つとして “Total joint displacement in the sagittal lane(Soft, Average, or Stiff)” の評価項目が加えられている。このような臨床的な試みでは、動作を客観的に観察し、「着地時に下肢全体が十分に屈曲しているか」または「柔軟性のある着地が行えているか」という観点で、主に運動学的な評価が用いられている傾向がある。一方で、着地動作の衝撃吸収戦略に関して、Devitaら(1992)は、力学的仕事量(エネルギー吸収量)を運動力学的評価指標としてSoftlanding(柔らかい着地)とStiff landing(硬い着地)における各関節の分節的な特徴を報告している。この報告により、Softlanding(柔らかい着地)を意識することは、膝関節における力学的負荷の軽減に繋がることが明らかとなった。さらに近年では、様々な条件下における着地動作時の下肢関節の文節的な運動力学的評価が実施されており、着地関連動作における衝撃吸収戦略に関する詳細な検討が進められている。
本講演では、運動力学的な評価としてエネルギー吸収量を主な評価指標とし、異なる特性を有する対象者や複数の関連動作における衝撃吸収戦略を調査した成果を報告するともに、衝撃吸収戦略とスポーツ傷害予防ならびにパフォーマンスとの関連を紹介する。特に、筆者の研究による成果から、着地動作における良好な衝撃吸収戦略として、膝関節における力学的負荷を軽減させるために股関節による貢献を高めることを重要視している。さらに、着地動作は、様々なスポーツにおいて異なる目的・特性を有する動作であることを踏まえ、各種スポーツにおける着地(または接地)動作と衝撃吸収戦略との関連について本講演を通して考えていきたい。