2022 年 2 巻 Supplement 号 p. S5
オーバーヘッドスポーツをおこなうアスリートでは繰り返しの投球動作に起因した投球側上肢の痛みが生じやすい。中でも肩関節痛は競技パフォーマンスの著しい低下や競技からの長期離脱にも繋がる場合も少なくない。そのため、アスリートが不安なくプレーを継続できるよう、障害発生につながるリスクを適切に評価し、予防につなげる取り組みが必要といえる。これまでに、臨床的に修正可能な障害発生リスクとして、肩関節可動域制限や肩甲骨周囲筋機能不全、脊柱や胸郭の可動性低下、不良な投球フォームなどが報告されている。しかし、他のスポーツ障害・外傷(前十字靭帯損傷など)に比べ、オーバーヘッドアスリートの肩障害の発生リスクに関する確立されたエビデンスは少なく、大規模な介入による障害予防効果を示した報告は少ないのが現状である。本講演では、最新のシステマティックレビューの内容を参考にするとともに、我々が過去に実施した前向き研究の結果から、今後のオーバーヘッドアスリートの肩障害予防に関する課題と取り組みについて検討をおこなう。
また、近年問題視されている投球過多に対する球数制限やイニング制限など投球動作の量的な部分への介入による障害発生との関連についても最新の知見を踏まえて考察していきたい。