気管支学
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興味ある経過をとった餅誤嚥による急性呼吸不全の 1 例
川村 雅文渡辺 真純橋詰 寿律加藤 良一菊池 功次小林 絋一石原 恒夫堀 進吾相川 直樹
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1990 年 12 巻 1 号 p. 88-92

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抄録
症例は65歳の男性で, 焼いた餅を食べていてその小片を誤嚥した。その後徐々に呼吸困難が出現してきたため, 誤嚥から約1時間後に当院救急部に収容された。来院時の血液ガスは室内気でPaO_2 34Torr, PaCO_2 52Torrで著しいチアノーゼと努力性の呼吸を認めたが咽頭, 喉頭には餅を認めなかった。人工呼吸器を装着し, FiO_2 1.0としても, PaO_2は73Torrにしか上昇しなかった。人工呼吸器装着下に気管支鏡を施行したところ右下葉支に餅が嵌入していた。鉗子で餅を摘除すると人工呼吸器装着下FiO_2 1.0でPaO_2は369Torrと著明に改善した。患者は20歳時に左肺結核に罹患しており, 退院一か月後に行った肺シンチグラフィーでは左肺に換気, 血流とも認めなかった。このため右下葉支の閉塞だけで著しい呼吸困難に陥ったものと考えられた。
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© 1990 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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