1991 年 13 巻 3 号 p. 235-241
X線写真上の末梢孤立性陰影を伴う70例に対して気管支鏡下擦過および気管支肺胞洗浄を同時に実施し, 検討した。検査後に手術, 剖検等を用いて69例で最終診断を得た。悪性腫瘍28例(40%), 肺膿瘍, 感染を伴う気管支拡張症, 肺炎等一般菌感染症24例(35%), 肺結核13例(19%), その他4例(6%)であった。喀痰検査, X線検査, 本法の3者により47例(67%)が最終診断に一致した。悪性腫瘍50%, 一般菌感染症38%, 肺結核85%であった。擦過, 洗浄までの本法に経気管支肺生検を加えて, 悪性腫瘍の確定率は57.1%であった。転移性肺腫瘍ではすべて診断不能であった。感染症37例中喀痰培養と洗浄液培養の一致した例は8例(22%)であった。気管支肺胞洗浄液培養を加え, 25例(68%)が起炎菌を検出しえたと判断された。洗浄液のみに検出された細菌には結核菌, 嫌気性菌, 真菌が多数を占めた。末梢陰影に対する本検査の現状, 限界, 問題点を示す成績と考えた。