気管支学
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腫瘍性気道狭窄に対する純エタノール局注療法の試み
濱田 薫長 澄人藤村 昌史福岡 和也堅田 均澤木 政好成田 亘啓渡辺 裕之今井 照彦大石 元東口 隆一西浦 公章
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1991 年 13 巻 3 号 p. 249-258

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抄録

気管支鏡を用いた内視鏡的治療法の一つとして, 気管, 気管支の腫瘍性狭窄, 閉塞に対して99.5%エタノール(純エタノール)局注療法を試みた。対象は肺癌7例, 転移性肺癌, 気管癌, 多発性気管乳頭腫各1例の計10例であった。有効症例は10例中6例(60%)であり, 肺癌症例のうち1例は有効, 3例は一時有効で, 他3例は無効であった。転移性肺癌症例は無効であったが, 気管癌, 気管乳頭腫症例では有効であった。有効例での腫瘍の発育は主にポリープ状であり, 無効例では浸潤性狭窄を呈していた。副作用は軽度の咳嗽以外認められなかった。以上から, 気管支鏡下純エタノール局注療法は, 適応をある程度限定すれば, 他療法の制限をともなう悪性腫瘍症例においても姑息的, 対症的治療法としてQOLの改善に有用であると考えた。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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