気管支学
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中葉症候群の臨床像および気管支鏡, 気管支造影所見の検討 : 中葉症候群の成因に関する一考察
長谷川 幹冨岡 洋海岡崎 美樹片上 信之坂本 廣子石原 享介岩崎 博信梅田 文一中井 準
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1991 年 13 巻 3 号 p. 259-265

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抄録

中葉症候群89症例の臨床像, 気管支鏡, 気管支造影所見を検討した。原因疾患では非特異的炎症と気管支拡張に基づく古典的中葉症候群が大半を占め, 年齢では中高年に多く, 性別では女性が男性の約2.5倍であった。気管支鏡的に中葉入口部の狭窄や閉塞を認めた症例は気管支鏡施行例43例中32.6%であった。気管支造影施行例37例中では91.9%に異常を認め, 中葉気管支の収束と拡張とが主な所見であった。気管支造影像で中葉症候群症例の中葉気管支の長さ, 起始部の幅, および中間気管支幹からの分岐角度をコントロールと比較した結果, 長さが有意に長く, 分岐角度が有意に鋭角であることが明らかとなり, 本症発症のメカニズムとの関連が示唆された。中葉と他の肺葉との比較という従来の視点に加えて, 正常例と中葉症候群症例との比較という視点が, 本症の発症原因の究明に有用であると考えられる。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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