気管支学
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気管支鏡により発症した縦隔気腫の 1 例
田口 修町支 素子Esteban Gabazza筒井 清行
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1991 年 13 巻 3 号 p. 298-302

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抄録

症例は70歳の男性, 5年前より肺気腫にて年に数回治療を受けていた。昭和62年9月22日, クモ膜下出血で当院脳神経外科に入院。術後誤嚥性肺炎をおこし呼吸不全になった。抗生剤, ステロイドで軽快せず, 気管切開後, 機械的呼吸管理を行うが, 呼吸管理不良にて当科へ紹介された。緑膿菌肺炎とCOPDの急性増悪の診断のもと, 多量の膿性痰吸引の目的で気管支鏡を施行。高い気道内圧下で処置中, 突然進行性の全身皮下気腫が発症した。気管支鏡にて, 右主気管支膜様部に断裂を認め, 気管支鏡先端による損傷に続発した縦隔気腫と診断, 1週間の左側片側挿管にて断裂口は閉鎖した。治療方針決定の為, 今後更に, 困難な状況下での気管支鏡検査の頻度が増す事が予想され, 本例のような気管支鏡先端による損傷にも十分気をつける必要があると思われる。

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© 1991 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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