気管支学
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悪性リンパ腫化学療法後に発生した気管食道瘻に対して Dumon tube が有効であった 1 例
平林 弘久安光 勉古武 彌宏中川 勝裕小川 達司種村 匡弘数尾 展上島 成幸南 正人
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1994 年 16 巻 6 号 p. 561-565

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抄録

症例は68歳, 女性。悪性リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)が頚部, 縦隔に広範囲に進展し, 気管, 食道間に浸潤していた。化学療法(VEPA)によって, 画像上腫瘍は完全寛解となったが, 腫瘍が浸潤していたと思われる部位に気管食道瘻が発生した。これに対して, Dumon tube[○!R](外径14mm, 長さ60mm)を気管内に留置し, 肺炎の予防, 経口摂取の再開に成功した。留置後9ヵ月目の現在, 外来通院中にて観察中であるが, 再発もなく患者のquality of lifeは良好に保たれている。悪性腫瘍に関連して発生した気管食道瘻の治療方法として従来, 食道バイパス, 食道内挿管法などが用いられてきた。食道バイパスに比較して, 食道内挿管法, 気管内stent挿管法は手技上の侵襲が少ないという利点がある。特にDumon tubeを用いる場合には, 本症例のように瘻孔の上下の支持性の保たれた場合には, 有効であると考えられた。

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© 1994 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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