気管支学
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INH 吸入療法と全身化学療法が有効であったと思われる喉頭結核の 2 例
斉藤 美和子新妻 一直
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1998 年 20 巻 5 号 p. 408-413

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抄録

症例1は53歳の男性。1995年4月咳嗽, 咽頭痛と嗄声が出現し11月当院に入院。両側肺尖部に空洞を伴う浸潤陰影が認められ, 喀痰塗抹でガフキー9号の抗酸菌が検出された。喉頭部に黄色の結節性病変がみられ, 喉頭結核を合併した肺結核と診断した。症例2は26歳の女性。1995年10月咳嗽が出現。1996年3月発熱と嚥下時痛, 嗄声も加わり近医で受診し, 当院へ紹介され3月入院。喀痰塗抹でガフキー3号の抗酸菌が検出された。胸部X線写真にて粟粒陰影を認めた。喉頭蓋に多数の黄色結節を認め, 喉頭結核を合併した粟粒結核と診断した。両者ともINH, SM, RFP, PZAの投与とINH吸入療法の併用により, 喉頭結核の改善や菌の陰性化が見られ経過良好にて退院した。嗄声や嚥下痛を伴う慢性の咳嗽には喉頭結核も念頭に置き積極的に気管支鏡検査を試みるべきである。また局所療法としてINH吸入療法の併用は疼痛軽減と治癒促進に有効であったと思われた。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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