気管支学
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右残存肺全摘術後12年後に発生した晩発性気管支断端瘻の治療経験
尾崎 良智井上 修平北村 将司上田 桂子藤田 琢也大内 政嗣花岡 淳
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2015 年 37 巻 5 号 p. 532-536

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抄録

背景.肺切除後10年以上経過した晩発性気管支断端瘻は極めて稀である.症例.症例は70歳の男性で,30年前に肺結核のため右肺上葉切除を受けていた.12年前に右下葉原発肺癌(扁平上皮癌)のため右残存肺全摘術を施行され,術後再発なく経過していた. 2008年9月に咳嗽・発熱のため当院受診,胸部CTで右気管支断端瘻と診断された.気管支鏡下に瘻孔の閉鎖を試みたが再発したため,膿胸腔開窓術を施行した.約2か月間の包交処置を行い胸郭成形・広背筋弁充填術を施行した.一旦治癒したが瘻孔の再発を認めたため,再開窓術を施行した.気管支断端の閉鎖に用いられた非吸収性縫合糸を抜糸したところ瘻孔は閉鎖された. 2010年2月に胸郭成形(肋骨・肩甲骨下端部分切除)・有茎大網弁充填術を施行し,退院した.現在まで膿胸の再発を認めていない.結論.本例では,気管支断端に遺残した非吸収性縫合糸が瘻孔治癒に影響したものと考えられた.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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