気管支学
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左上葉腫瘤に対する経気管支生検に加えて,右肺門リンパ節の経気管支穿刺吸引細胞診を行うことで診断し得た同時多発肺癌の1例
高瀬 直人里内 美弥子桐生 辰徳西村 春佳伊藤 彰一内堀 健山本 正嗣奥野 恵子浦田 佳子島田 天美子服部 剛弘根來 俊一
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2015 年 37 巻 5 号 p. 537-543

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抄録

背景.同時多発肺癌は全体の1〜2%と言われ,その症例数は画像診断の進歩とともに増加しつつある.今回気管支鏡にて扁平上皮癌と小細胞癌の同時多発肺癌と診断し,両者に根治的治療を行うことができた症例を経験した.症例. 74歳男性.主訴は前胸部不快感.胸部CTで左上葉に腫瘤影,右S^6に結節影と右肺門にリンパ節腫大を認めた.左B^3cに対する経気管支生検(transbronchial biopsy: TBB)に加えて右#11iリンパ節に対する経気管支穿刺吸引細胞診(transbronchial needle aspiration cytology: TBAC)を行い,扁平上皮癌と小細胞癌の同時多発肺癌と診断し,それぞれに対する根治治療を実施した.結果.小細胞肺癌に対する化学放射線療法は薬剤性間質性肺炎にて途中で中止となったが,両病変に対して病勢制御を行うことができた.結論.気管支鏡的アプローチにて同時多発肺癌を診断し,両者に対する根治的治療を施行することが可能であった.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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