気管支学
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術前の気管支鏡検査が有用であった膵癌肺転移の2手術例
藤岡 真治蜂須賀 康己魚本 昌志
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2015 年 37 巻 5 号 p. 544-549

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抄録

背景.膵癌は切除後再発率が高く予後不良な疾患で,肺転移に対して切除を施行した報告は少ない.症例1は53歳女性, 2004年に膵癌手術施行. 2009年胸部CTで右上葉に孤立性腫瘤を認めた.気管支鏡下擦過細胞診で膵癌転移の診断であった.上中葉間が完全分葉不全であり上中葉切除を施行した. 2014年12月現在,肺切除後5年経過して再発なし.症例2は81歳女性, 2010年に膵癌手術施行.重喫煙者で糖尿病あり. 2013年胸部CTで右中葉に孤立性腫瘤があり,FDG-PETでは中葉以外に上葉肺尖部にも集積があった.中葉は気管支鏡下擦過細胞診にて膵癌転移の診断で,胸腔鏡下右中葉切除及び上葉部分切除を施行した.最終病理は上葉・中葉腫瘍とも膵癌肺転移であった. 2014年12月現在,肺切除後1年経過して右下葉に局所再発あり.結論.転移性肺腫瘍が疑われる場合は,術前に気管支鏡が可能であればできるだけ施行するべきと考える.

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© 2015 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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