気管支学
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症例
特発性肺線維症合併難治性気胸に対し胸膜癒着術を併用した局所麻酔下胸腔鏡での組織接着剤による被覆術が有効であった1例
赤池 公孝福田 浩一郎永野 潤二岸 裕人岩越 一坂上 拓郎
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2019 年 41 巻 4 号 p. 387-392

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抄録

背景.間質性肺炎に合併した続発性自然気胸は,難治性で致命的になることがある.特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)により全身麻酔が困難な難治性自然気胸に対して,胸膜癒着術併用の局所麻酔下胸腔鏡での組織接着剤による被覆術を施行した.症例.72歳男性.IPFに伴う続発性左自然気胸を発症し,気管支塞栓療法を施行し気胸改善後に別医へ転院したが,左自然気胸を再発したため当院転院となった.転院時は呼吸不全の進行や,画像所見では蜂巣肺・気管支拡張を伴う間質性肺炎像の進行に加え,左肺上葉の肺虚脱を認めた.左自然気胸再発と判断し同日より胸腔ドレナージを行うも難治性を示し,低肺機能であったため外科的治療は困難と考え,2回の局所麻酔下胸腔鏡での組織接着剤による被覆術と胸膜癒着術を併用したところ,気胸は改善し転院となった.結語.低肺機能のIPFに合併した難治性気胸において,胸膜癒着術と局所麻酔下胸腔鏡での被覆術の併用療法は有用な治療選択肢である可能性が示唆されたので報告する.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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