気管支学
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症例
喀痰細胞診異常を契機に発見された肺癌と喉頭癌の同時性重複癌の1例
尾下 豪人磯山 正子伊藤 徳明妹尾 美里山本 祐太郎川﨑 広平奥崎 健
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2019 年 41 巻 4 号 p. 393-396

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抄録

背景.喀痰細胞診や気管支鏡によって,喉頭癌をはじめとする上気道の悪性腫瘍が発見されることがある.喉頭癌は喫煙が重要な危険因子であり,嗄声や血痰などの症状も重複しているため,肺癌と鑑別を要する疾患のひとつである.症例.喫煙歴のある69歳の男性が,喀痰細胞診異常にて前医を受診した.胸部CTにて右下葉に結節を指摘されたため,当院で気管支鏡検査を実施した.肺病変にはアプローチが困難であったが,挿入時に右声帯腫脹を認めた.他院耳鼻咽喉科での精査により早期の声門癌と診断され,根治的放射線照射が行われた.右下葉結節に対しては胸腔鏡補助下肺区域切除術を施行し,肺腺癌と診断した.結論.特に喀痰細胞診陽性例における気管支鏡検査では,上気道癌合併の可能性も考え,上気道の注意深い観察が必要である.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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