2023 年 45 巻 1 号 p. 37-42
背景.肺放線菌症確定診断のためのガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography with a guide sheath:EBUS-GS)を用いた診断能は不十分である.病巣深部からの検体採取が肝要と報告されている.症例.52歳女性.胸部異常陰影を契機に胸部CTにて右S6に結節影を認めた.約2年間で軽度増大し,当科に紹介された.結果.EBUS-GSを用いて,EBUSでwithinから生検を行ったが,炎症性細胞浸潤などの非特異的所見のみであった.PeriView FLEXを用いた穿刺吸引針生検により,壊死性変化を認め,悪性所見は認めなかった.さらに生検検体の組織培養でActinomyces odontolyticusを認め,肺放線菌症と診断した.抗菌薬加療で病変の改善を認めた.結論.肺放線菌症の診断のため,病巣深部からサンプリングを行う際,ガイドシース併用経気管支穿刺吸引針生検は有用である.