気管支学
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農夫肺の診断における TBLB と BAL の有用性(BAL か TBLB か, その適応と限界)
武内 健一田村 昌士冨地 信和毛利 孝
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キーワード: びまん性肺疾患
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1986 年 8 巻 4 号 p. 483-490

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抄録

農夫肺について, TBLBによる組織学的所見と診断率, 病理組織学的所見とBAL所見との対比, 沈降抗体陽性無症候性酪農夫のBAL所見などについて検討した。同時に特発性間質性肺炎, サルコイドーシス, びまん性汎細気管支炎についても検討した。農夫肺のTBLBによる診断率は65.4%であった。一般に肉芽腫は発症より生検までの期間の長い例で多くみられ, 短い例では胞隔炎が強く, マッソン体が多い傾向がみられた。BAL所見では, 総細胞数の増加とリンパ球比率の高値が特徴的所見であった。リンパ球サブセットでは, OKT4^+/OKT8^+の上昇が約半数に認められた。胞隔炎の程度のやや強い例でリンパ球比率, OKT3^+比率が高い傾向がみられた。OKT4^+dominantの例では, すべてに肉芽腫が認められた。沈降抗体陽性無症候性酪農夫のBALでは, 総細胞数は健常者と差はないが, リンパ球比率が有意に上昇し, 農夫肺発症との関連性について, 経過観察が必要であると思われた。

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© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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