気管支学
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気管支結核症の気管支鏡所見(気管支鏡所見のとらえ方をめぐって)
倉澤 卓也久世 文幸
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1986 年 8 巻 4 号 p. 556-563

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抄録

最近7年間に経験した53例(21歳∿85歳, 男性15例, 女性38例)の気管支結核症の内視鏡所見および臨床像, 治療経過につき検討した。初発症状としては咳嗽が最も多く, 喀痰, 発熱もみられたが, 入院時には喘鳴, 嗄声, 呼吸困難など, より病状の進展した症状も多くみられた。入院時の胸部XP所見では, 無気肺45.3%, 浸潤影39.6%などのほか, 肺野陰影のない例も13.2%であった。病巣部位は, 気管13例, 右主気管支16例, 左主気管支15例, 右上葉支15例, 中幹支11例, 中葉支10例, 左上葉支10例などであり, 小野分類による最も高度な病変部の所見は, 潰瘍肉芽型が41例と大部分を占めた。多くの例では, 種々の型の病変が混在してみられ, また, 潰瘍肉芽型の多くは, 本症に特有の"白苔"に覆われ, その診断は容易であったが, 増殖浸潤型, 潰瘍肉芽型やリンパ節穿孔例の一部では, 肺癌との鑑別に苦慮した。化学療法の排菌陰性化の効果は良好であるが, 長期にわたり病巣が残存したり, 治療経過中に狭窄の進行を来す例もあり, 長期間の観察が必要と考える。

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© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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