気管支学
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気管支原発の上皮内癌および微小浸潤癌の気管支鏡所見と組織所見(気管支鏡所見のとらえ方をめぐって : 特に表層浸潤型扁平上皮癌について)
永元 則義斎藤 泰紀今井 督佐藤 雅美太田 伸一郎菅間 敬治佐川 元保薄田 勝男須田 秀一橋本 邦久仲田 祐
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1986 年 8 巻 4 号 p. 564-572

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抄録

胸部X線写真無所見肺癌の切除例のうち, 連続ブロック切出し法による組織学的検索で, 独立した上皮内癌とされた7例および長径8mm以下の微小浸潤癌6例の気管支鏡所見を検討した。上皮内癌には所見の乏しい例が多く, 微小浸潤癌よりも局在診断に難渋した。無所見例は上皮内癌で3例, 微小浸潤癌で1例あった。13例中5例はspurとは離れた部位に発生しており, spur以外の部位もおろそかにできない。spur発生例でもspur全体ではなく, ごく一部分に変化が限局していることが多かった。一般にspurの肥厚と表現される例も詳細に検討すると, spur中央の小水疱状の微小隆起, spur前半にある浮腫状で微細顆粒状の微小な半球状隆起, spur中央の腫脹, spur辺縁部の蒼白な微小隆起, のような所見を呈していた。小さな病変では扁平上皮化生との鑑別が困難な例も多く, 積極的に擦過, 生検を行なって診断をつける必要がある。

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© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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