1986 年 8 巻 4 号 p. 599-605
気管支形成術後の気管支動脈の再生における大網, 有茎心膜, 有茎および遊離胸膜による気管支吻合部の被覆の効果, 肺動脈血流量減少の影響, steroid剤の影響, 更に最近関心の高まっている肺移植後の気管支動脈の再生について, 犬でpostmorten bronchial arteriographyを用いて実験的に検討した。気管支形成術後, および肺移植後の気管支動脈の再生は, 術後3日目よりみられ2週目に完成するが, 再生の度合が最も早いのは大網被覆群で, 4日目より末梢側気管支動脈の完全な造影がみられ, 最も遅れたのは遊離胸膜被覆群であった。肺動脈狭窄は, 気管支動脈の増生を促し, steroid剤投与群は, 非投与群に比べ, 気管支吻合部の炎症所見が軽度であった。同種肺移植の場合cyclosporine投与群の方がazathioprine投与群より再生の度合, 吻合部の治癒は良好であった。