気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
経内視鏡的気管支粘膜血流量の測定とその意義(気管支血管系 Bronchial vessels の構造と機能)
藤野 昇三井上 修平松本 鉄也高橋 憲太郎山中 晃加藤 弘文
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 8 巻 4 号 p. 606-612

詳細
抄録

バイオメディカル・サイエンス社製の電解式組織血流量計(RBF-1)を用いて, 経内視鏡的に気管支粘膜血流量を測定した。臨床例58カ所について測定したところ, 健常部の血流量に比較して, 炎症症例のそれは有意に高く, 非活動性肺結核症例のそれは有意に低く, また癌浸潤部では高い傾向がみられた。いずれも肉眼的な発赤, 蒼白, 血管怒張などの所見を裏書きする値であった。一方, 気管支形成術後の気管支粘膜の血流の回復過程を検討したところ, 吻合末梢側の血流は, 3日目頃から既に回復の徴を示し, 約2週間後には術前値に復した。ただし, 色素注入法によれば, 気管支動脈の再開通がみられるのは1週間目頃からであった。これらの結果から, 吻合末梢側の気管支の血流は, 気管支動脈からの固有の血流が回復する以前に, 肺動脈系などの血流のシフトにより比較的早期から代償されると考えられる。

著者関連情報
© 1986 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top