1986 年 8 巻 4 号 p. 642-648
肺癌をはじめとする肺野腫瘤状陰影の診断に際し, Fluorotomography機構を付加したX線装置(日立MEDIX-210, 特型)の使用経験を得た。本装置の特徴は, 従来の断層撮影装置と異なり, 一振幅するだけで任意の断層面を瞬時にTV画面に映し出すことができ, 検査時間の短縮, 被曝量の減少に役立つことにある。また, 従来のX線TV透視下では部位確認困難な症例において経皮針生検にて検討を行ない, 十分応用できるものと考えられた。さらに, 生検針と腫瘤の位置を直ちに把握し, 補正を行ない速やかに生検針を腫瘤に命中させることができた。合併症の出現率は従来の方法とほとんど変わらず, また体位変換困難な老人・下半身麻痺の患者などにも応用でき, 本法は臨床上有用な検査法と考えられた。