抄録
斜面表層崩壊に対するササ地下茎の補強効果を評価するため, 北海道 · 道東地域のミヤコザサ群落33調査地で, 群落の構造を調べた。その結果, ササ地上部を代表する指標として, 葉面積指数の有効性が確認された。その指標を使って, 地下部のいくつかの因子との相関を調べたところ, 葉面積指数の増加に伴って地下部乾燥重量は増加した。また, 平坦地で認められた葉面積指数と1 m2あたりの地下茎の体積または長さとの相関は, 斜面では認められなかった。一方, 補強効果としての地下茎引張り力を算出するための因子, 斜面における斜面単位幅断面あたりの地下茎積算断面積は, 葉面積指数との間に強い相関があった。両者の関係を使って, 斜面表層崩壊に対するササ地下茎の補強効果を一般化した評価方法を示した。さらに, 森林地区の斜面では, 無立木地の斜面に比べて, 地下茎は太く, 水平(等高線)方向に伸張しやすいことが判明した。