日本緑化工学会誌
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論文
山腹工施工地における土壌動物相の回復過程
竹下 正哲新谷 融
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2004 年 30 巻 2 号 p. 415-420

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抄録

斜面崩壊は土壌表層に多く生息する土壌動物相に深刻な攪乱をもたらすと予想される。また生息場であるリター層が消失することからその回復には長時間かかると予想されるが,実際に検証した報告はない。そこで本研究では,山腹工施工地の土壌動物相の回復過程を把握することにより,崩壊により攪乱を受けた土壌動物相が,その後の山腹緑化工によって崩壊以前の状態を回復しうるか検討することを目的とした。北海道南部活火山恵山地区の山腹工施工年代の異なる崩壊跡地において,土壌動物相の時系列推移について比較検討を行った。その結果,土壌動物相は崩壊により減少していること,その後の植生回復にともなって個体数, 種構成ともに回復していくことなどが明らかとなった。しかし山腹工施行地の土壌動物の群集組成は通常の森林のものと比べて特異であり,山腹工施行地には土壌環境の安定化を妨げる要因が存在していることが示唆された。

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© 2004 日本緑化工学会
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