道路建設において生じる裸地法面の安定に対して,ネパールでは従来の緑化施工によって施工が行われているが,裸地法面の永続的安定手法の確立が望まれている。そこで,本研究は,ネパールの自然と調和し,永続して安定する木本群落の造成を目指し,播種工による早期樹林化方式の緑化手法を適用し,ネパールの立地条件への適合性を検討した。実験は日本のハイドロ式の植生基材吹付機(ソイルシーダー)を用い,植生基材は現地産の有機物資材や土壌を半量混合し,また,使用植物はネパール産を主体に用いて,これまで施工が全く失敗したシワリク層の急な切り土面において行った。その結果,施工1 年後には,ネパール産の樹木の成長は旺盛で,施工4 カ月後には樹高2 m以上に達し,崩壊法面を完全に被覆した。そして,施工以前には多数の深いガリ侵食が発違し多量の土砂が流出していた法面が完全に安定したことが認められた。