のり面の被覆植物として優れているとされるチガヤImperata cylindricaは,種内変異が大きく,緑化資材としての特性にも,系統間差異が大きいことが推察される。そこで採取地や生育の様相の異なるチガヤ22 系統について,生育特性,萌芽, 発根力,根茎の耐乾性を比較調査した結果,葉数,葉の下垂程度,草高,地下部重量,根茎の萌芽, 発根率および耐乾性のいずれにおいても系統間に著しい差異が認められた。これら6 形質についてのレーダーチャートを作成し,22 系統について緑化資材としての特性を評価したところ,レーダーチャートの形は系統間で異なっており,6 形質すべてに関して優れた値を示す理想的な系統はなかった。しかし葉数が多く草高が低いなど地上部の形質が優れている系統や,萌芽力, 耐乾性が大きく定着力に関して優れている系統があり,本研究で明らかになった有用形質についての系統間差異の大きさは,のり面緑化に適した系統の選抜の可能性を示唆した。