自然公園区域において,森林表土の土壌シードバンクを用いた切土法面の植生回復のための施工方法を検討するため,(1)土壌シーバンクと市販種子の導入試験と(2)植生基材吹付工に有機質材料を用いた工法とこれに土壌を添加した材料を用いた工法を行い,施工後4年間に発芽,成立する植物群落について経年的に調べた。森林表土を用いた手法は,市販種子を導入する従来手法に比べ,出現種数は2つの工法でそれぞれ2.8倍及び5.2倍であり,成立本数は1m2当たり6.0本及び17.5本であった。施工4年後には従来の工法に比べて,現存量に関する差がなくなり,多様・多層の植物群落が形成され,自然回復緑化における土壌シードバンクの有効性が示唆された。