中国内蒙古自治区の毛烏素沙地における主要な緑化樹種であるサリュウ(Salix psammophila C. Wang et Ch. Y. Yang )とハンリュウ(S. matsudana Koidz. )の挿し木苗を用い,両樹種の乾燥ストレスに対する生理生態的反応を調べることを目的として,乾燥処理条件下での成長量,光合成速度,蒸散速度,気孔コンダクタンス,及び葉の水ポテンシャルの変化を測定した。サリュウは乾燥ストレスに対して,気孔コンダクタンスを低下させ,蒸散を抑制することで葉の水ポテンシャルを高い値で維持するなど,葉の脱水を延期する特性に優れる樹種であると考えられた。ハンリュウにおいても,乾燥処理による気孔コンダクタンスの低下とそれに伴う蒸散抑制が示されたが,その反応はサリュウより小さく,乾燥条件下でも多くの水を消費する樹種であると考えられた。また,成長量は両樹種ともに減少した。しかしながら,気孔閉鎖による光合成の抑制が少なかったハンリュウでは,サリュウと比較して成長量の減少が小さかった。