2007 年 32 巻 4 号 p. 513-516
表土シードバンクを植生基材の中に体積比10% 混入して吹付けた切土のり面には,アカメガシワ,ヌルデ,カラスザンショウ,ヤマハギを主とする疎な低木林が成立した。それと同じくして風散布種(アカマツ,リョウブ,ウリカエデ)が侵入,次いで新しい鳥散布種(ガマズミ,ソヨゴ)が侵入して定着,4 年目には重力散布種であるコナラが生育しているのが確認された。これらの侵入種はのり面上部の林を構成する種類であることから,早期に陽性の中高木林が形成されて当地の自然植生が復元されると考えられた。また,侵入して定着する種類には環境への適応性などによって順序があることが示唆された。