日本緑化工学会誌
Online ISSN : 1884-3670
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32 巻, 4 号
Vol. 32, No. 4
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集
論文
  • 田村 悠旭, 山中 典和, 玉井 重信
    2007 年 32 巻 4 号 p. 497-503
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/09
    ジャーナル フリー
    中国北部~モンゴル原産で耐塩性,冠水耐性が高いTamarix 類の一種,ギョリュウ(Tamarix chinensis Lour.)の成長と樹体内養分分布に土壌中の水位変動がどのような影響を及ぼすか挿し穂を用いて実験を行った。水位を地表面から35 cm,25 cm の位置に固定した処理区(WTC35,WTC25),水位が15 cm から35 cm の間を変動した処理区(WTC15-35),25 cm から35 cm の間を変動した処理区(WTC25-35)の4 処理区を設けた。根元直径・現存量はWTC25 とWTC15-35 で高くなった。WTC25,WTC15-35 では土壌体積含水率が高くなり利用可能な水分が多くなった。このため,ギョリュウの成長はよくなったと考えられた。また,WTC15-35,WTC25-35 では水位が最も高くなる土壌層に根が多く分布し,かつ塩分も多く集積した。これにより吸収した塩分量は増加し,植物体内塩分量は固定区と比較して変化したと考えられた。
  • シュレスタ  マドゥスダン バクタ, 宮崎 敏孝, 鈴木 純
    2007 年 32 巻 4 号 p. 504-512
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/09
    ジャーナル フリー
    本研究は,ガリー浸食が著しく発達している未固結礫層の切土法面に対して,植生基材吹付工を用いて播種導入した植物が法面表層土の安定性に及ぼす影響について検討した。本研究では,既存の植生調査(成立本数・成長量・根系形態・根系の引き抜き抵抗力),施工から103 ケ月後の植生調査(成立本数・成長量・植物体表面積)および施工地における粒度分布・透水能・浸食状態の調査結果を基に,施工法面の表層保護・安定に及ぼす植生の影響について検討した。その結果,播種導入した施工地では,ガリー浸食の発生・発達は抑制され,植物群落が法面の表層剥離や浸食に対して極めて有効であることが認められた。また,維持・管理の視点から施工地における人為被害や導入植物の傾倒被害などによる法面の保護・安定性についても考慮すべき点について論じた。
技術報告
  • ―切土のり面における施工後4 年の植生調査結果―
    小畑 秀弘, 中村 剛, 谷口 伸二
    2007 年 32 巻 4 号 p. 513-516
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/09
    ジャーナル フリー
    表土シードバンクを植生基材の中に体積比10% 混入して吹付けた切土のり面には,アカメガシワ,ヌルデ,カラスザンショウ,ヤマハギを主とする疎な低木林が成立した。それと同じくして風散布種(アカマツ,リョウブ,ウリカエデ)が侵入,次いで新しい鳥散布種(ガマズミ,ソヨゴ)が侵入して定着,4 年目には重力散布種であるコナラが生育しているのが確認された。これらの侵入種はのり面上部の林を構成する種類であることから,早期に陽性の中高木林が形成されて当地の自然植生が復元されると考えられた。また,侵入して定着する種類には環境への適応性などによって順序があることが示唆された。
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