抄録
放棄され拡大しつつあるハチク (Phyllostachys nigra var. henonis) 林を対象として,竹林の林内,落葉広葉樹林と接し拡大しつつある竹林の林縁,およびその中間部分に区分し,稈の空間分布を比較検討した。空間分布解析のために,L関数を用い,距離にともなうL関数の変化を検討した。同じコホートの稈で,タケノコから当年生稈,当年生稈から5年生の古い稈へと生育段階が進む過程で,空間分布の変化を検討したところ,竹林の林内では,タケノコと当年生稈で集中分布,5年生稈ではランダム分布し,林縁や中間部分では,タケノコの段階から5年生の稈まで常にランダム分布を示した。したがって,竹林の林内では,タケノコが稈となって以降に密度依存的な枯死が生じ,拡大しつつある部分では,タケノコの段階からランダムに分布して密度依存的な枯死を避けているものと考えられた。