抄録
イヌケホシダの分布データと現在の気候データより分類樹モデルを構築し,現在の分布を規定する気候要因とその閾値を推定した。また,現在と気候変化シナリオ(RCM20)の気候分布から日本全域の分布適域を予測し,分布変化の予測を行った。分類樹モデルおよびその分離貢献度,予測した現在の分布適域より,分布を規定する気候要因は大きくはWI,PRS(夏期降水量)であり,地域的にPRW(冬季降水量)とTMC(最寒月最低気温)が分布を規定していた。現在の分布適域の2次メッシュセル数は1,388であり, 2031~2050年と2081~2100年では,2,179と2,813セルであった。分布適域は2081~2100年に,中部地方から関東・東北にかけての脊梁山脈と北上高地を除く日本全域に広がり,本州最北端までの北上が予想された。