抄録
兵庫県下のヒノキ人工林および落葉広葉樹林で,土砂受け箱を用いて侵食土砂の移動量を測定するとともに,実生出現法により,その移動土砂中に含まれる埋土種子集団を調査した。その結果,移動土砂量が多くなるほど,山腹斜面から流出する埋土種子量も多くなる傾向がみられた。さらに,斜面部に滞留する深さ5 cmの森林表土中の埋土種子密度より,移動土砂中に含まれる埋土種子密度の方が高くなっていることがわかった。谷部の土壌水分が高い条件下では,樹木種子の発芽率の低下をもたらす可能性があることから,植生回復に寄与する埋土種子ポテンシャルの劣化を防ぐためには,斜面から埋土種子を含む森林表土が流出しないようにすることが重要であると結論づけた。