抄録
3段階の光条件(irradiance levels: Plot A: 100%, Plot C: 48%, Plot D: 20%)で育成された寒地型芝(Kentucky bluegrass, Poa pratensis L.)の個葉光合成速度を予測する際に,ガス交換パラメータの季節や年による変動または生育時の光条件による違いをどの程度考慮する必要があるか調べた。個葉光合成速度の日変化を 2年間にわたって観測した実測値と,別途測定した光合成速度の温度・光依存データから抽出したパラメータセットを用いて推定した予測値とを比較した。ガス交換パラメータの生育時の光条件による違いや季節変動・年々変動を考慮せずに,春季の最適条件下での光合成データから抽出したパラメータセットを用いた予測値は,概ね実測値を再現できていたが,最大炭酸同化速度の低下が見られる季節の,特に強光下における予測で過大評価をした。芝の管理計画に利用するために十分な精度で個葉光合成を評価するためには,最大炭酸同化速度の生育時の光条件による違いや年々変動よりも,季節変動,すなわち冬期と初夏期以降の低下を考慮する必要性が高いことが示唆された。