抄録
中国内蒙古自治区の毛烏素沙地で緑化に利用される Salix psammophila C. Wang et Ch. Y. Yang とS. matsudana Koidz.の当年生挿し木苗を水耕栽培によって育成し,NaCl (0,50,100 mM) による塩ストレスが成長,光合成,および葉内のベタイン蓄積におよぼす影響を比較した。その結果,両樹種とも100mM のNaCl 処理区で成長,および光合成は強く抑制された。50mM,100mM の処理区では,両樹種とも根にNa+蓄積が見られた。S. psammophila の葉の100mM 処理区でNa+がわずかに増加したが,S.matsudanaでは顕著に増加した。両樹種の葉におけるグリシンベタイン含有量は100mM 処理区で,β-アラニンベタインは50mM 処理区で増加した。一方,同時にジャスモン酸メチル (0,1,5,10 mM) の散布処理を行い,耐塩性に関わる生理的効果を検討したが,ベタイン類集積を含め,処理の影響はほとんどなかった。